黒い画用紙を手で切ってみる。
切れた紙はもとには戻らないけれど、
もう一度繋げてみたら、ほら。
稲妻が走るよ。
普通だったら、再会は甘美かもしれない。
とろけるくらい優しくて、
簡単に過去に引き戻されるかもしれない。
真っ黒に塗られた一片の画用紙を破く様に、
思い出は、心に稲妻を走らせるかもしれない。
でも、残念でした。
私の心は黒くないから、
破かれても稲妻なんて走らないんだなぁ。
芯が燃え尽きたろうそくにしてみても、
ぐにゃぐにゃになったロウが残るだけで、
どう頑張っても、二度と燃えられない。
ちゃんと燃え尽きるまで燃えたんだもの。
「おわったこと」は、巻き戻せない。
ねぇ、これ誰に言ってるか、分かってる?