2012年1月17日火曜日

陽の当たる場所

私がこれまで書いてきた記事の中には、
度々「ある一人の男の子」に向けて、
ただひたすらに書いたものがあります。

もちろん見てもいないし、
恐らく一生見ることは無いでしょう。

その子、いいえ、その彼は、私の生徒で、
担当している中で一番年の離れた男の子です。

一瞥するだけでは、ただのやんちゃな子ですし、
声を聞くだけではほぼ騒いで叫んでいるので、
ただの「バカ」と思われるでしょう。
もしくは、その辺にいる「小学生男子」みたいな。



彼が塾に来た時、「小柄でヤバい奴(※)がきた。」
※)うるさくて授業にならないタイプ。
と塾内でもトップニュースを独占でした。

だけど、私は一目見た瞬間から、
「この子の担当になりたい」と思いました。
理由も何も無くて、ただ直感と、直感と、直感。

社員に頼んで、御法度とされる逆指名をし、
晴れて国語の担当になれたということです。


本当に落ち着きが無くて、私はいつも、
「イスっていうのは座るものなんだっつーのっ!」
なんて躾をするみたいなことことばっかり言ってた。
多分、彼からしてもよく怒る先生だった思う。

だけどその分、深い話もしてきた。
普通なら小学生とこんな話しない、と思うことも。

一回も無断欠席とか無断遅刻したことないし、
疲れていても頑張って授業に来てくれていた。
夏は暑さに、冬は寒さに、
頬を林檎色に染めて、走ってきた。


気がつけば2年の時間が経過していて、
慌ただしく迎えた新年のはじめ。
歩き続けてきた軌跡の果てに、出会えたようです。
あの子が合格するなんて、本当に、夢みたい。


この子は、とにかく優しい心を持っていて、
絶対に人のことを本気で傷つけたりできない。
ひどいことをしてしまったなんて時は、
自分の方がその数百倍傷つくことを知っている。

嘘をついた時も、それを見破られると、
ひどく安心したような顔をすることがあって、
私はとっても複雑な気持ちになる。
どうして貴方はそんなに自分を傷つけるのかと。

薄い層が幾度も重ね上げられたような柔らかい心で、
本当に些細なことで刺さった棘をも守ろうとする。

そして、誰かの期待に応えることを、
自分の義務にまで高めて動くことの出来る強さがある。



私は、君に会って初めて、本気で、
「伝えたい、伝わってほしい」と思うようになった。
この言い方がベストでいいのかな、と思う日が増えた。
「頑張った」という記憶を作る手伝いがしたいと思った。

実際は、あの子から教わることの方が何千倍も多くて、
沢山、たっくさん、成長させてもらってきている。


本当に冗談抜きで、
この子に会ってこうやって奇跡を目の当たりにする為に、
私はここまで塾講師をしてきたのかもしれない。
そういう風に、思う。

間違いなく、名前の通り、
あなたは私にとって、眩しい太陽です。
受かったからこういうことを言ってるんじゃなくて、
いつも思ってきたこと。
こういう日が来たら言葉にしようと決めてきた。

だけど思いのほかこぼれる言葉に、驚いている。
とにかく、本当に、ありがとう。


実際は、後少し試験が続くので、
本音をこぼすのはここまでにします。


次の授業は、、、
言われなくてもちゃんと座ってね。
そして言われる前に授業準備しててね!
要らないものはカバンの中にしまうんだよ。



最後まで、頑張ろうね。