2012年5月4日金曜日

足るを知る

幸せの基本は、比べない事、足るを知る事。


私はまだ二十一年しか生きていないけれど、
思い出すだけで体温が上がるような、
とても幸せな出会いと日々の記憶があります。

つけていた日記は捨ててしまったし、
交わした連絡の跡も消してしまった。
記録なんてこれっぽっちも残っていないのですが、
確かに今も揺るぎなく優しい思い出です。


ただただ、そこにいて楽しそうにしていた人。
暇さえあれば「ちょっとこれ見て!」と言う人。
いつも笑っていてくれた人。

最初は子どもっぽい人だと思っていたし、
目映くて、底抜けに明るくて、苦手でした。

人生で一番、一人にになりたかった時期。
だけど心のどこかで誰かに支えてもらいたかった。


毒みたいに体に染み渡っていくその優しさは、
変な意味ではなくて、結構真剣に、
体の随を溶かすような、不思議なものでした。

小さい頃からずっと抜けなかった力が、
自然にするりと消えていくのが分かったし、
自分の人生に誰かが深く関わる事を許せたのは、
これまでにあの一回しか無い、と思う。


このときに、「幸せ」っていうのは、
自分の外に生まれるものではなくて、
自分の内側に満ちるものなのかなぁと思いました。

生きている事があんなに嬉しかったのは、
もう本当にあの瞬間だけかもしれない。


そんな出逢いも、今はそばには無いのだけど、
離れる事は驚くほどに悲しくも怖くもなかった。

今でも、出会えたことの尊さが溢れていて、
この出会いに関してだけは、私は、死ぬまできっと、
離れた悲しさよりも出会えた喜びを感じると思う。


人を好きになるだとか、
愛するだとか、そういうことじゃない。
全部飛び越えた、尊ぶような感情を伴う出会い。

太陽と月と満点の星を合わせても足りないほど、
今もきっと、きらきらと輝いている人。

その輝きを浴びて見つけた「幸せ」は、
きっとずっと続いている。



ほら、
思い出すだけでこんなに優しい気持ちになる。