幸せの基本は、比べない事、足るを知る事。
私はまだ二十一年しか生きていないけれど、
思い出すだけで体温が上がるような、
とても幸せな出会いと日々の記憶があります。
つけていた日記は捨ててしまったし、
交わした連絡の跡も消してしまった。
記録なんてこれっぽっちも残っていないのですが、
確かに今も揺るぎなく優しい思い出です。
ただただ、そこにいて楽しそうにしていた人。
暇さえあれば「ちょっとこれ見て!」と言う人。
いつも笑っていてくれた人。
最初は子どもっぽい人だと思っていたし、
目映くて、底抜けに明るくて、苦手でした。
人生で一番、一人にになりたかった時期。
だけど心のどこかで誰かに支えてもらいたかった。
毒みたいに体に染み渡っていくその優しさは、
変な意味ではなくて、結構真剣に、
体の随を溶かすような、不思議なものでした。
小さい頃からずっと抜けなかった力が、
自然にするりと消えていくのが分かったし、
自分の人生に誰かが深く関わる事を許せたのは、
これまでにあの一回しか無い、と思う。
このときに、「幸せ」っていうのは、
自分の外に生まれるものではなくて、
自分の内側に満ちるものなのかなぁと思いました。
生きている事があんなに嬉しかったのは、
もう本当にあの瞬間だけかもしれない。
そんな出逢いも、今はそばには無いのだけど、
離れる事は驚くほどに悲しくも怖くもなかった。
今でも、出会えたことの尊さが溢れていて、
この出会いに関してだけは、私は、死ぬまできっと、
離れた悲しさよりも出会えた喜びを感じると思う。
人を好きになるだとか、
愛するだとか、そういうことじゃない。
全部飛び越えた、尊ぶような感情を伴う出会い。
太陽と月と満点の星を合わせても足りないほど、
今もきっと、きらきらと輝いている人。
その輝きを浴びて見つけた「幸せ」は、
きっとずっと続いている。
ほら、
思い出すだけでこんなに優しい気持ちになる。