2013年7月19日金曜日

お父さんのハンカチ

泣きたくなるくらい愛してくれる人、
そんな人を思い浮かべろと言われたら、

「お父さん」たった一人しか思い浮かばない。


ただ、お父さんのことは好きだけど、
頻繁に話したりしない。
私が小さい頃からあんまり家に居ないし、
趣味もあんまり似てないからかしら。


私のお父さんは、我慢強い人だ。
そして、私の事を好きでいてくれる人だ。


私は、お父さんみたいに
自分に無限の愛情を注いでくれる人を、
試してしまう悪い悪い癖がある。

いじわるしたり、無視したり、
そういうことを、してもなお私の事を好きでいてくれるか、
観察して(大抵は後悔して)しまう。

それでもお父さんはいつも許してくれる。
私の事を世界で二番目に好きだと言ってくれる。
(一番はどんなにケンカをしても母親だと言う。)

こんな風に私の全てを包み込んでくれる人は、稀だ。
私は、そんなお父さんを、愛さない訳にはいかない。
そして、こんな高い基準と男の子を比べて、
勝てる人なんて、いるわけないと思ってる。
好きな人は、いつも、お父さん。

余談だけれど、お父さんはいつもハンカチを持っている。
悲しくて涙が出た時、
楽しくて汗まみれになった時、
私が外で座る時、
いつもそのハンカチを差し出してくれた。

普通の洗剤で洗って、
お母さんが綺麗にアイロンをかけたハンカチ。
お父さんのハンカチの匂い。
香りと言うよりも、もっと体に染み付いた、匂い。

無限の愛なんて、
血がつながってない限り、きっと、そう無い。
あったとしても、刹那的だと思っている。
すぐ騙されるくせに、こういうことを信じる力が無い。


それでも、お父さん以外の誰かの愛情に、
泣きたくなるほど支えられる事があるんだなと思った。

その人の洋服からは、
お父さんのはハンカチの匂いがした。


永遠に続いてほしいなんて思わない。
だけど、この一瞬だけでも、
お父さんじゃない人を、心の底から信じてみようと思った。