2013年8月19日月曜日

一番

中学高校と、バスケットボールをしていた。
スポーツの練習全般に言えることと思うけど、
「走る」練習が結構好きだった。
球技なのに、走る方が好きだった。

そして、中高とダッシュ系の練習があった。

中学のころ、トップメンバーより速く走ると、
文句を言われた。
わたしもスタートメンバーだったし、
なんでそんなこと言われるのか分からなかったけど、
「ズルしてるんじゃないの?」とか云々。
アホか。

私は足が遅い方だと思うのだけど、
気力で走るタイプで、
気持ち次第で、速く走れることがあった。
だから、なんと思われようと、私はズルしてない。
好きなことは、絶対に手を抜かない。


高校は部活のレベルも中学より数段質が高くて、
先輩・同学年・後輩、誰を取っても尊敬できた。
部活が全て、に近い生活だったし、
本当に好きで、凄く謙虚な気持ちで取り組んでた。

ここから書く話は、よくわからないと思う。

高校の部活では、長い距離をダッシュする練習があった。
記録も取るし、その順位がスタートメンバーにも影響した。
私は、真ん中くらいだった。

だけどある時期を境に、
色んなことが器用にできるようになったことがあった。
放っておいても、色んなことが難なくこなせると、
構ってもらえなくなる。

その時期に、走り方も少し変わった。
すると、ダッシュの練習で、ちょっと見え方が変わった。
景色とか、地面とか、風が、掴めるみたいな感覚だった。

普通に走ってるだけなのに、前に出てしまう。
大好きで、私を可愛がってくれてる先輩を、抜いて行く。
尊敬できて、適わないと思っていた友達が、視界を外れる。
思わず脚を緩めて、ゴールをした。

「シュン、速くなったね!後少しでトップだったのに!」
マネージャーの先輩が、そう声をかけてくれた時、
いつも通りへらへらと戯けた。

部室へ戻る時、一番尊敬する友達が言った。
「…なんで、最後力抜いたの?」


中学校の時は、一番を走ると怒られた。
この時は、一番に出なかったことを怒られた。

自分のことを第一優先にすれば咎められて、
他人のことを考えると、下世話扱い。
なんなんだこの孤独感は。

何かが、ぶつっと、切れた。
帰りのバス停で、なかなか来ないバスを待ちながら、
ぼろぼろ泣いた。


この時、私は鬱病だった。