中学高校と、バスケットボールをしていた。
スポーツの練習全般に言えることと思うけど、
「走る」練習が結構好きだった。
球技なのに、走る方が好きだった。
そして、中高とダッシュ系の練習があった。
中学のころ、トップメンバーより速く走ると、
文句を言われた。
わたしもスタートメンバーだったし、
なんでそんなこと言われるのか分からなかったけど、
「ズルしてるんじゃないの?」とか云々。
アホか。
私は足が遅い方だと思うのだけど、
気力で走るタイプで、
気持ち次第で、速く走れることがあった。
だから、なんと思われようと、私はズルしてない。
好きなことは、絶対に手を抜かない。
高校は部活のレベルも中学より数段質が高くて、
先輩・同学年・後輩、誰を取っても尊敬できた。
部活が全て、に近い生活だったし、
本当に好きで、凄く謙虚な気持ちで取り組んでた。
ここから書く話は、よくわからないと思う。
高校の部活では、長い距離をダッシュする練習があった。
記録も取るし、その順位がスタートメンバーにも影響した。
私は、真ん中くらいだった。
だけどある時期を境に、
色んなことが器用にできるようになったことがあった。
放っておいても、色んなことが難なくこなせると、
構ってもらえなくなる。
その時期に、走り方も少し変わった。
すると、ダッシュの練習で、ちょっと見え方が変わった。
景色とか、地面とか、風が、掴めるみたいな感覚だった。
普通に走ってるだけなのに、前に出てしまう。
大好きで、私を可愛がってくれてる先輩を、抜いて行く。
尊敬できて、適わないと思っていた友達が、視界を外れる。
思わず脚を緩めて、ゴールをした。
「シュン、速くなったね!後少しでトップだったのに!」
マネージャーの先輩が、そう声をかけてくれた時、
いつも通りへらへらと戯けた。
部室へ戻る時、一番尊敬する友達が言った。
「…なんで、最後力抜いたの?」
中学校の時は、一番を走ると怒られた。
この時は、一番に出なかったことを怒られた。
自分のことを第一優先にすれば咎められて、
他人のことを考えると、下世話扱い。
なんなんだこの孤独感は。
何かが、ぶつっと、切れた。
帰りのバス停で、なかなか来ないバスを待ちながら、
ぼろぼろ泣いた。
この時、私は鬱病だった。