2011年3月12日土曜日

星 2011.3.12

一ヶ月前から、「書こう」
と思っていたことを全て書き直しました。

まさかこんな大きな震災に襲われるとは驚きです。

現時点で数百人近い方が、
星になってしまったということです。

皮肉にも、電気が通じにくい為か、
空に瞬く星が美しく、目眩がしそうです。


偶然にも、命についての記事を練り続けてきました。
しかも、自分が経験した中で一番つらい命の話。


神様はこうして時々、気まぐれに試練を与えてくる。


もしも、人が作った都会文化が、
星空を隠していることが気に食わないなら、

私達が寝ている間に、ビルを持っていってくれればいいのに。
そっとライトを消してくれればいいだけなのに。


こんな風に大きな痛みを与えなくても、
こんな方法じゃなくても、
あなたが神様なら、他のやりかたで、
大切な物事を教えてくれてもいいじゃない。


失わないと分からないかもしれないけど、
失うには尊すぎるものを、こんな風に一瞬で消さないで。

輝くには美しすぎるものが、今宵、煌めきを増します。



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

想像できますか?

16歳で、一人旅立っていく怖さ。
16歳で、一人取り残される寂しさ。


3月12日、
この日だけはもう4年間、一秒も未来へ進みません。
私に「人生最後の初恋」をくれた彼は、16歳のまま。


12歳の夏、十六夜月の夜。
海の見える街から突然やってきた、
どっちが名字なのかよくわからない不思議な名前。
私よりずっと頭がよくって、運動もできて、
瑞々しいという形容詞がよく似合う人。


大きな心で沢山の深みのある言葉をくれて、
人並みに揺れながらも軸を持ってる人。

言葉や身のこなしひとつひとつが、麗しくって、
私が人生をかけて守り抜きたいと思った人。



痘痕も靨になっていたのもあるのかもしれませんが、
このひいき目を差し置いても、
誇りに思う存在であり、人として素晴らしいと思えます。


生まれて初めて自分以外の人を、
こんなに「自分の一部」みたいに思えました。

それなのに、人生最大のいじわるは施されて、
目の前から世界中の色が消えてしまいました。


失ってから大切さを知る、なんて言葉があるけれど、
大切さなんていうのは、知れるうちのごく一部で、
憎らしさとか、与えられ続けてたものとか、
奪われたものとか、ふたりじゃなきゃ生み出せないこととか、
今になっても、毎日毎日違うことに気がつきます。


気づくたびに自分を構成するものが、
ひとつひとつ剥がれていく様な気分になって、
初めて越えた夏の終わりには、別の人間になった気分でした。


本当に、言葉にできないくらいの闇に囲まれて、
泣いても叫んでも、何も変わらなくって、
ただただ時間が進んでいく日々の中で、
もの凄い強さで揺すられている様な気分がしました。


前に進めたかなと思って振り返ると、
進む為にかけた時間の数億分の一の時間で引き戻されたり。
「喪失」という記憶は、自分に染み付きました。
失ったということを、忘れることができない。
そんな矛盾した時間が、隠れることはあっても、
終わってくれません。


何をどのくらい言葉にすれば、
いつまで涙を流していれば、
どのくらい強がって笑い続ければ、
この穴は塞がるのか、痛みは消えるのか。

そんな風な日々を、今日まで過ごしてきています。
悲劇のヒロイン気取りだと言われればそこまで、
だけど、そんな滑稽な言われかたでも、
アイデンティティが与えられるなら楽かもしれません。
この現実に、思い出に触れる度、
私は自分が何者なのか分からなくなります。


だけど、この出会いにはもちろん、
この別れにだって、意味はあったと思います。
まだまとまった言葉にして表現することはできないけれど、
意味は、絶対にあってほしいと思います。

彼は、私の一等星。ずっと、これからも。



愛しい人、いつも心はそばに。
一生私の思い出の中で、輝いて下さい。


春くん、お誕生日、おめでとう。




・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


今宵は綺麗な星空は、皮肉すぎる。



春くん、
今日は、本当なら七里ガ浜のお家で、
お母様とお祝いをしてあげたかったんだけど、
日本が大変なことになっています。

たくさんの人があの時の私達みたいに、
苦しい思いを強いられることになってしまったようです。

タイミングの問題でしょうけれど、
私はなんだかとてもショックで、今もこれを書きながら、
ネットでニュースを拾い続けています。


あなたに教わったすべてを思い出して、
何かできないことがないか考えてみます。

私達の出会いに、日々に、別れに、
意味を生み出せる日が来たのかもしれないね。


失うには、尊すぎるもの。
空に輝くには、美しすぎるもの。


ありったけの愛をこめて。