一年の区切りは、いつも3/12でした。
つまり去年までの3/11は、
お花を買って、ケーキを準備して、
海の見えるあの家に行く、その「前日」でした。
一年が終わる日でした。
彼が亡くなってからの彼の誕生日は、
4度目だったので、思い出に対する気持ちは、
かなり落ち着いていた頃ではありましたが、
曇天と小春日和が波のように寄せ返し巡る3月。
それと同じように、気持ちも晴れたり荒れたり、
自分でも対処しきれないくらいに揺れる季節。
無条件に毎年憂鬱な時期でした。
そして、私は家の近くで、あの震災に遭遇。
日常が壊れて行く様に違和感を覚えたりもしたけど、
丁度あの頃、あることで心を壊しかけていたので、
ありとあらゆる日常が止まったことに対して、
「休憩」を許されているような気持ちでいました。
色んなキャンセルの連絡も出来ないまま、
彼の「4度目の17才の誕生日」は過ぎて、
5日くらい過ぎた頃、彼の家族が日本を発った。
今でも時々連絡を取るけれど、
いよいよ一人になった気がして悲しかった。
そして追う様に、私も旅行としてEUへ。
結局おざなりになった誕生日に、
私自身、区切りの付けどころを見失いながら、
この一年が始まりました。
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震災後すぐに自分の Tumblr に音楽を貼りまくるという、
誰に向けたアプローチなのかよくわからないことを、
ただひたすら、愚直なまでにしていたのですが、
帰国してからも、むしろこの一年、
ひたすらに音楽を聴いていました。
夜明けの歌
東京事変
Speechless
Lady GAGA
ぼくが一番欲しかったもの
槇原敬之
今まで知っていた曲1000曲、
新しい曲を月200曲くらい延々と聞いていました。
そして夏頃、遂にこの音に出会ってしまいました。
WHITE SHOES
カジヒデキ
Love Is All
カジヒデキ
「なにこの音の重ね方…!」
感動は止まず、一気に好きなジャンルが広がりました。
いわゆる「ネオアコ」「渋谷系」との出会いは、
運命の赤い糸をたぐり寄せた感すらありました。
この一年は音楽にかけたお金が凄かったです。
あの時、不安を払拭したくて引き込まれる様に、
音に埋もれていたのに、嬉しいことに繋がってよかった。
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持っていた全ての肩書きや持ち駒のようなものを、
削ぎ落とし続けた一年でもありました。
ひたすらドメスティックに、内向的に。
今までだったらしないような選択肢を選んだり、
やってみたかったことを始めてみたり。
最後の仕事を終えてからは名刺も持つのを辞めて、
この場にいながら「自分探し」をした一年でした。
そういう意味では、彼が亡くなった時と似ていた。
一年の間にあった大切な出逢いも、よく似ている。
支えてくれる人や環境がいつにも増して強かった。
そしてそれに比例して、
彼がいないことに対する悲しさがとか、
死にたいと思う気持ちや瞬間が、
極端に少なくなっていきました。
忘れてしまったのではなくて、
今まで余るほど持っていたものを少し置いてこられて、
心が軽くなった感じがします。
それでも「それは忘れてるという事」と言うなら、
そういうことでも、構わないです。
だけど悲しみや、死にたい気持ちは、どこへ?
もしかしたら、私に関わってくれた人の心に?
支えてくれた環境や物に吸い込まれた?
風になって、どこかに旅立ったの?
誰にもわからない、この疑問は尽きません。
だけど一度生まれたものが0になるなんてあり得ない。
物は形を変えて繰り返し生きるし、
感情ですら、誰かの心の中に生き続けます。
だから私は、自分の心が軽くなる度、
誰かが苦しみうることを、忘れないでいようと思います。
助けられた分、助けるような生き方をしたい。
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口先では、「大丈夫」とか、「元気だ」とか。
確かに嘘ではないけど、
心が100%健康で居られることなんて、
私は記憶の中でもそんなに無かった気がする。
そしてそれは、みんな同じだと思っている。
だけど、前向きなことを言っていれば、
なんとなくいい感じになるのも本当で、
難しいのは、前向きなことを言える心を育てること。
だけどそれは一人で出来なくても、
自分がネガティブなときは誰かがその役をして、
誰かがネガティブなときは自分がその役になる、
というような形でも成し遂げられるのですよね。
この曲に出会ったとき、
歌詞が「大丈夫だよ〜」って言っているような気がして、
言葉は綺麗だけど、随分呑気な歌だなと思いました。
だけどタイトルを見て、その素直さにコロっとやられた。
さよならなんて云えないよ
小沢健二
「言葉だけじゃない、態度だけじゃない。」
そういうことをみんな分かって生きている。
そういうことが、この4年の間に、
自分の中から抜けてしまっていた様な気がしました。
言い訳がましいけれど、
いいことも嫌なことも、有効期限がある。
いつまでも元在った形のまま持っておけないから、
色んなことに出会いにいかないといけないですよね。
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私は、これからも揺らいでいくだろうし、
だめな時は信じられないくらい泣くだろうけど、
同じくらい、飛び跳ねるだろうし、
忘れられないくらい、笑っていける。
生きているのが、楽しいです。
コジコジ銀座
ホフ・ディラン
ハミングが聞こえる
カヒミ・カリィ
一年を一緒に作ってくれた全てのみなさんに、
心から感謝しています。
そして、春くん、おめでとう。
3/12