干菓子に「おかき」が出てきて、ふと思い出したこと。
チーズおかき、というのが
徳島の祖父母の家の数少ない思い出だったりする。
私の父の出身は徳島で、
私自身は人生で2度しか行った事が無い。
それも、一度は記憶にすらない。
しかも、おばあちゃんしか記憶になくて、
正直、声すら覚えていない。
初めてあったときの事は前述の通り覚えていなくて、
2度目に会ったときには、もう息をしていなかった。
お店を経営していて、顔に印象的なほくろがあった、
ということしか分からない。
おばあちゃん(…というすら、若干憚られる)が、
亡くなったのは私が小学2、3年生の時だった気がする。
当時私は小学1〜4年にかけて毎年、親類を亡くしていて、
お葬式=旅行、みたいな非常に不謹慎な感覚で居た。
家族で徳島に行き、
黒い洋服を着て、弟と、ほとんど会った事の無い親戚と、
大きなお部屋で時間を食いつぶしていた時、
同じ様に黒い服を着たおじさんが、
「これ食べな」と差し出してくれたお菓子の中に、
チーズおかきがあった。
田舎の法事の席に出てくるお菓子は、
この辺のスーパーにすら売ってるか否かという、
謎のメーカー製品や商品があったりする。
ターゲット年齢が高そうなもの、というか。
しかし私は、
中学生くらいまでお菓子をあまり食べずに育っていて、
その時に出されたものですら、ちょっと珍しかった。
チーズおかきは、取り立てて美味しい訳ではなかったし、
しっけているのもあった。
人様に出す為にあるというよりは、
本当に時間をつぶす為だけのもの、という感じだった。
でもなぜか、鮮明に記憶に残っていて、
しっけたおかきは、おばあちゃんの死を連想させる。
おかきを目にするたびに、
こうやって時々おばあちゃんのことを思い出せたら、
それだけでも少しは喜んでくれるでしょうか。
そんなことをぼんやりと思い浮かべていた今日。