昔から、手首の節のある女の人がとても好きだった。
華奢な手首は、魅力的に見える。
無理なダイエットをしても、
手首の節だけは思い通りにならなくて、
指と爪の形と手首の節は、コンプレックスだった。
だけど不思議なことに、働き始めてから体つきが変わってきた。
食べ物の趣向も変わってきてしまった。
紫蘇とお酢を美味しいと思った日、
ああ本当に変わっちゃったんだなと思った。
外から見たら変わってないのかもしれないけど、
私の中では違和感に似た様な様変わりが起こってる。
中身もそう。
本を、前ほどには読まなくなった。
映画をあんまり見なくなった。
かといって、何か新しいことをしているわけでもない。
別に悪いことじゃないと思う。
現に、別に今の生活にも不満があんまりない。
だけど、
電車の窓からふと見えた広告のコピーに
心情を代弁されるようでどうするんだろう。
どこに向かってるんだろうね。
ここまで変化に揺れてもまだ、手首の節は曖昧な形のままで、
あくまでも、憧れは憧れのまま。